『今日は死亡事故のあった日です。1分間の黙とう・・・』
朝礼で聞いたことがあるかも知れません。
✔︎黙とうする意味とは?
- 死亡事故があったという『情報の共有』
- 同じ事故を、繰り返さない『対策』
- 事故を、風化させない
黙とうは、被害者の冥福を祈ることです。しかし事業所には『再発を防止』する狙いもあります。絶対に起こってはいけない事故だからです。
僕はフォークリフト業界に10年以上います。実際に働いた現場の3割で死亡事故がありました。
やはり事故日が来る度、朝礼で黙とうをしました。しかし黙とうの意味が僕には伝わってきませんでした。
この記事では、ある事業所で僕が実際に聞いた『衝撃の安全ミーティング』を解説します。
この記事を読むことで、当事者意識を持って安全に作業する意識が伝わると幸いです。
黙とう、他人事になってませんか?
朝礼で『今日は過去に重大事故があった日です。黙とう・・・』
これだけだと、正直、他人事になりやすいです。
説明があったとしても、
- 犠牲者の年齢
- 事故のあった現場
- 何年前にあったか
これだけだと事故防止ができるのか、正直疑問です。
事業所のねらいとは
✔︎事業所のねらいは
- 二度と、同じ事故を起こさないため
- 安全意識を、高めたい
✔︎従業員にとっては
- 事故事例を共有することで、『危険を知る』ことができる
- 危険を知ると、『危険を避ける』ことができる
これがつまり事故防止対策になります。
結果だけ知っても意味がない
✔︎効率的に情報共有するポイント
- 事故の結果を共有すると、『最悪の事態』は伝わる
- しかし、『きっかけ』が伝わらない
✔︎『きっかけ』が事故の原因のコアな部分です。
二度と死亡事故を起こさないためには
『なぜ事故があったか?』
僕は、その理由を個人的に聞いて知ることが、多かったです。
- 事故の原因を知らないと、同じ事故がおこる
- さらに、状況を知らないと対策ができない
安全意識をどう持つか『ヒント』を探します
衝撃の安全ミーティング
ある現場の朝礼で始まった安全ミーティング。
事故で亡くなった方の命日だったのですが、黙とうの前に始まったスピーチが今でも印象に残っています。これが本来語り継ぐべき話なのかも、と今でも考えることがあります。
事故の時系列報告が始まった
時系列の説明が始まったのです。10年位前の事故ですが語り継ぐこともすごいし、
内容も事実なので正直ゾッとします。
時系列は以下のような感じでした。
◉Aさんの横で積み込み補助をしていたBさんが後ろで積み込みをしていたCさんのリフトに接触
◉CさんはBさんを巻き込んでいることに気がついていない
◉周りの異常な空気でCさんがBさんを巻き込んでいることに気づく
◉Bさんは腰の辺りまでリフトの下敷きになっていて『痛い!痛い!』と訴える
◉救急車が来て病院へ搬送、
◉病院にて治療中のBさんの意識がなくなる
◉Bさんが出血性ショックで死亡
※内容は一部伏せています。
正直、耳を塞ぎたくなる
これを聞いて、正直耳を塞ぎたくなりました。
これを聞いて危険を分からないはずはないと思いました。
後方確認の重要性を理解
後方確認を怠った恐ろしい事故です。
リフトは前のツメで荷物を動かします。
ですが、基本バック走行です。
前方を注意しなければ荷物が崩れたり危険です。
後方も注意しないと最悪人身が起こってしまいます。
前を注意しながら後ろも注意する。
ボクの得た考え、安全意識
事故を起こすと取り返しがつきません。人命に関わるとなおさらです。
もやもやしていた迷いの答えが衝撃のミーティングにありました。
フォークリフトに10年乗って、自分なりの安全に関する考えがまとまりました。
安全は最優先
正直な話、物損・破損事故は人身事故に比べると大したことありません。
事業主は、人身事故を起こした従業員のその後の人生まで補償はしてくれません。
自分の身は自分で守るしかありません。
効率は二の次でいい
事業主がどう言おうと、安全が最優先です。
無理な時間指定で業務を急がされ、事故をしても本人の責任です。
時間に遅れても命までは取られません。
事業主の利潤のために人生をかけれません。
知ること
事故の原因や状況を知ること。
知らないとは無防備なことです。
知ると、ゾッとすることがあります。
ゾッとする感覚が重要なのです。
ゾッとする感覚がマヒするとヤバい。
安全意識を高めるには
現場の安全意識が高いか低いかで事故のリスクが変わると言えます。
当然、安全意識が高い方がリスクは低いはずです。
リフト作業も人間がやっていることです。
安全意識を高めるのは人の心を動かすことかも知れません。
取り組むべきは
想像もしないことを伝え
想像力を高めること
安全意識の高い現場
安全意識の高い現場では、毎日朝のミーティングでKYTトレーニングをしていました。
KYTとは危険予知トレーニングです。
危険かも知れない、と言う思考が危険を排除していきます。
大声で声かけするのは、体裁ではありません。
トラックの運転手や、近くを歩いている作業員に怪我をさせたくないからです。
行動を伝えるコミュニケーションが活発な現場
安全意識の低い現場
安全意識の低い現場ではヘルメットをしないのが定着していました。
すごい高荷など、不安定な荷物を運ぶことにプライドを持っている感がありました。
確かにすごいのかも知れませんが、そんな綱渡りではいつか事故をします。
遠回りでも安全で確実に
まとめ
フォークリフトは危険な仕事です。
実際に死亡事故もあり、リスクがあります。
しかしオペレーターの意識次第でリスクを下げることができます。
経験豊富なベテランだから事故しない、そうではありません。
ベテランは事故を回避しているだけです。
危険を回避することは、危険を知ること、想像することです。
想像するとゾッとする、その感覚が大事です。しかし目を背けます。
一言で死亡事故と言っても、その過程は悲惨です。いま解説した事故事例を見て、他人事ではなくフォークリフトに乗っていれば起こりうることと思えれば事故の可能性は下がると思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
それではご安全に!
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