【フォークリフト】後方指差呼称しても事故が起こる原因【ルール化の落とし穴】

安全対策

 

・後方指差呼称を強制されるのが嫌だ
・指差呼称は意味がない
・事故防止になってない

✔︎後方指差呼称が『事故防止になるの?』と思っていませんか?

  • 後方指差呼称をしているのに、なぜ事故が起こるのか?
  • リフトマンが『後方確認をしたつもり』になるのは、なぜか?
  • 後方指差呼称の徹底は、どうすればできるか?

結論はこんな感じ

  • 『後方指差呼称』をしているのに事故が起こるのは、『後方確認した錯覚』をしているから
  • 『後方確認をしたつもり』になるのは、後方指差呼称が『目的』になっているから
  • 『後方指差呼称』が定着しないのは、リフトマンの『当事者意識がない』から

僕はフォークリフトのオペレーターを10年以上しています。後方指差呼称していても、『後方の安全確認』ができていないなぁ、と思う現場をよく見てきました。

ここでは、後方指差呼称で、『後方の安全確認をした錯覚』に陥る原因について解説します。

この記事を読むと、後方指差呼称を徹底するには、従業員の危険に対する『当事者意識を高めることが重要』だとわかります。

『後方指差呼称』してるのに、なぜ事故が起こるのか?

 

✔︎後方指差呼称をすることが目的になっている

  • 後方指差呼称に、50%の注意力
  • 残りの50%の注意力で、後方確認

注意力が『分散』してしまっています。
後方指差呼称が『目的化』してしまっているからです。

『後方指差呼称』は、目的ではなく手段

✔︎バック走行時の、後方指差呼称』が、ただのジェスチャーになっている。

  • 重要なのは、後方の安全を確認すること
  • 後方指差呼称という『ジェスチャー』ではない

後方指差呼称とは、後ろの進行方向を指差して『後方ヨシ!』と掛け声することです。
しかし指だけ後ろを指していたり、顔が横を向いている(後ろを見ていない)では意味がありません。

後方指差呼称は、安全を確認する手段であって、目的ではありません。

『後方指差呼称』が目的だと『安全確認したつもり』になる

✔︎後方指差呼称の『後方ヨシ!』で、後ろの安全が確保されたと、思い込んでしまう。

  • 後方指差呼称の、ジェスチャーが目的になっている
  • 体に染み付いたジェスチャーが、後方確認したと『錯覚する』

忙しい時に、よくあるパターンです。
周りからも一見、後方指差呼称をしているように見えるので、危険に気づきにくいです。

後方指差呼称(後方確認)ができている人には、『当事者意識』があります。

安全確認を、したつもりをなくす『当事者意識』

 

✔︎フォークリフトでの当事者意識は、『あなたも人身事故をする可能性がある』ということです。

  • 自分が、人を怪我させてしまう可能性がある
  • 加害者側になる可能性が、高い
  • それは自分の安全確認で、防ぐことができる

ベテランだから大丈夫、という思考が実は『落とし穴』だったりします。

  • あなたは、安全確認が確実にできているか?
  • 安全確認をするとき、『最悪の場合』が想像できるか?

 

最悪の場合が起こってから、『当事者』になっても遅いです。

当事者意識を持つためには

最初から当事者意識が備わっている人は、中々いません。なので『当事者意識を育てる教育』が必要です。

僕が当事者意識を強烈に感じたのは、朝礼での安全ミーティングでした。
ある人身事故を風化させないために、『事故の時系列を朝礼で共有』していたことです。

  • 人身事故の時系列を聞くと、他人事とは思えない
  • 人身事故を起こした場面を『自分と置き換える』と、恐ろしくなる

自分に置き換えて見ると『当事者意識の自覚』ができます。

当事者意識を教育するには

✔︎危険な運転や『安全確認不足の結末』を、他人事と思っていませんか?

『当事者意識を育てる教育』は事故を起こすとどうなるかを、伝える工夫が必要です。
『ルールだから守ってください』だけでは、絶対伝わりません。

  • 会社は事故の責任を、保証してくれる訳ではない
  • 人身事故を起こした後の人生を、会社は保証できない

事故が起こり、パトカーや救急車がきて、事情聴取や現場検証をしている場面を見て

  • 自分だったら、事故防止に全力を注ぐ
  • あのとき確認していれば、こんなことにはならなかったはずだ

と思えるよう『当事者意識』を育てる指導を、しないといけません。

『事故の結末』だけ伝えるより『事故の過程』も伝えた方が、他人事感がなくなります。

『後方指差呼称の落とし穴』は、当事者意識の不足

✔︎つまり『後方指差呼称の落とし穴』は、ルールが定着していても、当事者意識が足りない状態です。

  • 後方指差呼称をするクセは、ついている
  • 実は、後方指差呼称で後方の安全が担保されたと、錯覚している

✔︎ここには『当事者意識』が足りていません

後方指差呼称の徹底は、どうすればできるか?

・後方確認(後方指差呼称)を徹底したい
・後方確認不足の事故を、無くしたい
・確認しているのに、なぜ事故が起こるのか
・なぜ確認したつもりになるのか?

✔︎このような悩みを抱える事業所は、

  • なぜルールを守らないのか
  • なぜルールが徹底できないのか
  • ルールを作ってもなぜ事故が起こるのか

と、『ルールを守らせること』に躍起になっています。
本質はルールを守らせることではなく、従業員が当事者意識を持つ指導をすることです。
その上でルールを提案する。ルール無視のペナルティは、『ルールが目的化』する原因です。

✔︎ルールを押し付けるだけだと、『確認したつもり事故』が量産されるだけです。

『後方指差呼称』は、ただの『ジェスチャー』

✔︎後方を指さして『後方ヨシ!』と呼称する。

これはただのジェスチャーに過ぎません。後方確認の本質は、『後方の安全を確認すること』です。

  • 後方の物陰に、人がいないか
  • 人がいた場合、リフトがバックすることに気づいているか
  • 荷物に気を取られてる間に、人が近づいてきていないか

✔︎後方の安全を確認するだけでなく、後方の危険予知をします。

  • 危険要素があれば、バック走行しない
  • 危険要素が、無くなってからバック走行する
  • リフトに気づいていない人がいれば、声かけをする

✔︎そこではじめて『後方ヨシ!』です。

安全より、ルールが重要になっていないか

 

  • まだ、後方指差呼称ができていない人がいます
  • 後方指差呼称の実施率が、低いです
  • 率先して後方指差呼称をすると、皆もします

✔︎いくら朝礼で毎朝言っても、後方指差呼称を定着させるのは、難しいです。

  • 指差呼称で、脳に刺激を与える
  • 指差呼称なしでは、脳はほとんど活性化しない

正直、物流倉庫では目まぐるしく物が動くので、脳はフル回転していると思います。

✔︎脳の活性化より、安全を大切に思う『当事者意識を高めること』で後方指差呼称を徹底できるのではないでしょうか?

まとめ:後方指差呼称だけでは、意味がない

 

  • 後方指差呼称を徹底するには、従業員の安全意識を高める必要がある
  • ルールだからしないといけない、では安全教育の怠慢である
  • 危険が伴う業務なので、当事者意識を持つことが重要

ちなみに、運んでいる荷物が不安定すぎて、後方確認どころではない。そんな場合は、運ぶ荷物の固定や運搬方法を、改善する必要があると思います。

✔︎人身事故の確率が高いバック走行ですが、人身事故は一発アウトです。

  • 職を失うかも知れません
  • 法的に処罰があるかも知れません
  • 被害者に一生謝罪し続けるかも知れません

誰も幸せにならない大きな事故は、『小さな安全確認の積み重ね』で防ぐことができるはずです。

さぁ、今から始めましょう、意味のある後方指差呼称を。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

それではご安全に!

コメント

  1. fumio より:

    先日、フォークリフトの免許の講習に行きました。指差しで左後方は右手でハンドルをもち左手で左後方確認をしたほうが確認出来ると言ったら指差し確認は絶対に左手でハンドルを持ち右手ですることだと言われましたが、
    法律に規定されているのでしょうか?
    わかる範囲で教えてもらえますか、よろしくお願いします。

    • shingo shingo より:

      コメントありがとうございます。
      まず、後方確認について詳細な作法は法律で規定はされていないと思います。
      会社独自のルールはあるかも知れません。
      確かに左手でハンドルを持って後方指差呼称すると左後方が見にくいと思います。
      またハンドルから手を離すと、惰性でハンドルが回ることがあって危険な場合があります。
      完全に停車状態で後方確認する場合は、どちらの手にハンドルがあっても問題ないと個人的には思います。
      やり方が儀式的になって肝心の後方安全の確認が出来ていなければ意味がないので、ルールなら割り切って安全なバック走行に重点を置くのがベストかと思います。
      いずれにせよ、事故(特に人身事故)があれば100:0の確率でオペレーターのミスになる可能性が高いので、ルールを参考にしながら安全確認できる工夫も必要な場合があると思います。
      長文で失礼しましたが、参考になれば幸いです。

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