リフト走行中に、急に人が出てきてヒヤッとした
荷物に気づかず、ぶつかりそうになった
ひょんな場所から人が出てきたり、死角の荷物に気づかず、びっくりしたことはありませんか?
フォークリフト業務には、『2種類の危険』があります。
- 人の動きに関する危険
- 荷物の動きに関する危険
✔︎この危険は、予測することができるでしょうか?
- 人の動きは、予測が難しい
※人間は、意思をもっているからです。急にいなくなったり、急に現れたりします。
- 荷物の動きは、予測可能
※物理的な法則で、存在するからです。荷物は、突然歩き出したりしません。
僕は、フォークリフトオペレーター歴10年以上になります。現場の事故を見ていると、予測できる事故が多いことに気づきました。
この記事では、予測できる事故と予測が難しい事故を解説します。
この記事を読むことで『危険を予測する』参考になれば幸いです。
予測が難しい『人の動き』
✔︎フォークリフトを運転していると、人の動きに注意する必要があります。
- 不意に、リフトに近寄ってくる人がいる
- リフトの存在に、気づいていない人がいる
- よそ見をしながら、歩く人がいる
✔︎このような場合、リフトマンから積極的に安全を確保する必要があります。
- 近くにいる人の気配に、気づかなかった
- リフトに気づいていると、思っていた
- リフトが危ないと、思っているだろう
※このような結果になるのは何故でしょう?
有効な『コミュニケーション』が必要
人は意思を持って、動く
作業現場で人は常に移動しています。フォークリフトにとって危ないエリアに入る場合もあります。
- 危ないエリアの、認識がない
- リフトの死角が、わからない
- リフトの動きを、気にしない
リフトが危険と知らない人もいるので、リフトマンは歩行者に最大の注意を払う必要があります。
つまり人の動きの予測が難しいのは、リフトの危険を知らないからです。
【予測が難しい事故】の対策
歩行者は『リフトが危ないという認識』が少ないと考えた方がいいでしょう。
歩行者に注意喚起する手段があります。
- 声かけをする
特殊な裏技でなくて申し訳ないですが、これに尽きます。
✔︎声かけのコツ
- 安全な場所にいてもらうように、声かけする
- リフトの、進行方向を伝える
- 近くを通るときに、声かけをする
✔︎具体的には
- 積み込み時、ドライバーは荷台の上にいてもらう
- つまり、『リフトマンが把握できる位置』にいてもらう
人間は予測不可能な動きをします。
逆にリフトに乗らない人から見ればリフトの動きは予測できないと思います。
人間が運転しているかぎり予想外の運転をする人がいるのも事実です。
予測しやすい『荷物の動き』
物損事故は、ほとんど予測が可能です。
荷物の安定や格納方法が悪かったり、理由が見てわかるからです。
もちろん、荷物の積み方が悪く、時間がたって倒れる可能性もあります。
予測が可能な事故【破損事故】
破損事故は無理な荷扱いが原因の場合があります。
また、無理なリフト操作や確認不足もあります。
・時間がないのでそのまま運んだ
・段差の衝撃で荷物が崩れて破損した
などです。
荷物の重心が偏っていたり、安定が悪いと倒れる危険があります。
路面の悪い場所や荷物の重心は、だいたい予測ができるはずです。
予測が可能な事故の対策
予測可能といえど全て防げるわけではありません。
なぜか?→人間がしているからです。
荷物の重さ・高さ・重心・遠心力・慣性を予測することです。
荷物がどうなりたがっているかイメージします。
倒れそうになっているとか、滑りそうになっているとか
天井の高さ・荷物の高さ・リフトの高さ・ヘッドガードの高さを確認します。
周りの空間を立体的にとらえます。
接触するとしたらどこか?を考えるクセづけ。
なぜあぶないのか文章化して考えるクセが身につくと
同じ危険を回避できます。
そもそも危険の存在に気づかない場合
危険を危険と認識できていない場合です。
危ないとわからないと事故をしてしまいます。
事故事例をみたり、他の人の運転を見て気づいたりします。
リフトの横転に注意とよく聞きます。横転事故を見たことがない場合、
まさか横転するとは恐らく思っていません。
まさかの横転時の緊急対策は、ハンドルにしがみつく、です。
とは言え横転するような運転は避けるべきです。
外部の講師に聞いた話ですが、
横転する場合、オペレーターはハンドルにしがみつくことくらいしか身を守る方法はないそうです。
あとはシートベルトを着用すること。
ベルトをしていてもハンドルにしがみついた方がいいのでしょう。
とっさに手を出したり、飛び降りたりするのは危険です。
事故を減らす対策
具体的にできる対策です。
歩行者の作業範囲を決める・歩行帯を決める
リフトの作業範囲を決める
コミュニケーションをとる
リフトの限界を知る
事故事例を知る
ルールを作る
歩行者はリフトに近づかない!
事故事例
フォークリフトにはさまざまな事故事例があります。
検索すると事故事例が探せます。
みたいな感じで検索します。
接触事故→荷物とリフトが接触
破損事故→リフトで荷物を破損
物損事故→リフトで建物を壊す
転落→作業バースからリフトごと転落
はさまれ→操作レバーが服などに引っ掛かりマストにはさまれる
巻き込まれ→リフトが旋回するときに、横で誘導していた作業員が巻き込まれる
転倒→荷物のドミノ倒しなど
衝突→リフトどうしがぶつかる
荷崩れ→運んでいたり、保管していた荷物が崩れる
操作ミス→習熟不足や、手滑りで誤操作してしまう
安全確認不足→危険に対する認識不足
気をつけるポイントはたくさんあります。
後方指差呼称のデメリット
バック時の事故が多いです。
バック時の事故を防ぐ対策の代表例が後方指差呼称です。
ルール化されているが、ジェスチャーだけになっていると危険です。
指差しをすることがノルマで肝心の確認ができていない。
指をさして、『ヨシ!』で脳を刺激ってのも正直微妙。
安全意識を高めるには
手っ取り早く安全意識を高める方法は、危険を知ることだと考えます。
事故事例を知るには
YouTubeや
職場の安全サイトの
労働災害事例
ヒヤリ・ハット事例
が参考になります。
知ることで同じ事故を繰り返す可能性は下がります。
今までに無かった事故を防ぐ方法は危険予知です。
予測できないことを予測する。
危険の要因を排除、避けて行くことが重要です。
まとめ
ここで伝えたいこと。
物損事故はだいたい予測できます。
人身事故は予測が難しいです。
物損事故は重力や重心・遠心力など力学的に無理が生じた場合におこります。
人身事故は人間の行動が関係します。
人間がどのような行動をとるか、それは本人にしかわかりません。
オペレーターが考えていることと、歩行者や作業員が同じ認識である確証はありません。
そのギャップが大きければ事故になる可能性が高くなります。
オペレーターは、近くにいる人へ、コミュニケーションを積極的にとる必要があります。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
それではご安全に!
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